普段は普通の中学生です。FUJIKISHIの未来像。
幼いころから”世界一”を目指してきた風児。彼の目指すプロフェッショナルモーターレーシングの世界は複雑で、中でも世界の頂点と言われる”F1”への道のりは遥かなるものです。
世界全体から見ると、日本は経済的にも環境的にも、一見恵まれた環境に見えます。が、それはあくまでも日本国内の活動を中心に“プロレーサー”としての地位を確立するための環境に対して、僅かに他国より恵まれているということであり、こと世界の頂点を日本発信で目指してゆこうとすれば、それは永遠に続くかのような棘の道でしかありません。実際には世界のレース・ピラミッドと、日本のレース・ピラミッドは自動車メーカーの存在を除けば殆どリンクすることはなく、別の頂点を持つ山になっているからです。
2018年現在、現役のカーレーサーとして世界に認知されているのは日本人では佐藤琢磨選手が唯一無二といっても良いのではないでしょうか?佐藤選手は日本のピラミッドではほぼ無名の存在のまま英国に渡り、F3からF1参戦自動車メーカーであるHONDAの規定路線に乗り、“とにかく先ずはF1にたどり着いた”から成功したと言われる、稀有な例です。従って佐藤選手は日本のレーサーの中では突然変異に分類されることが多いのです。佐藤選手の出現から20年余が経った今でも、現状は変わりません。それどころか、1990~2000年代よりも日本経済が勢いを失っている今、さらに困難になったというのが偽らざる真実だと思います。
そしてその困難な時代の最中に、日本人として生を受けた“岸風児”は、クルマを操る技術においては同年代の他者を圧倒しています。しかしこの世界がクルマという道具を使う世界である以上、今よりも先へ進めば進むほどに、この見えない経済の壁をひたすら押し続ける作業を絶え間なく行う必要があるのです。